只見町 (福島県)

課題
  • 校務でICTを有効活用したい
  • セキュリティを強化したい
  • 教職員の負担を軽減したい
導入製品・サービス
    • and.T
自治体規模
9校以下
プロフィール

只見町教育委員会
〒968-0421 福島県南会津郡只見町大字只見字町下2591-30

印刷用資料
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取材日
2015年3月

福島県只見町教育委員会では、平成25年度に町内の小学校3校、中学校1校のパソコンなどICT機器の刷新を行いました。それに先立って、小・中学校の先生方に要望をヒアリング。中学校の校長先生から「情報管理をクラウド化してはどうか」という提案がなされました。

「世の中で情報漏えいなどの不祥事が増えている中、只見町の教育現場でも個人情報を保護し、情報漏えいを防ぐための対策を講じる必要性を感じていました」と只見町教育委員会学校教育係の酒井氏(以下同)が説明します。

仕事の繁忙期には、先生方がさまざまな場所で校務を行うこともあります。「USBメモリや携帯用ハードディスクなどでデータを持ち歩くと、途中で紛失するリスクが出てきます。そのため、データを持ち歩かなくてすむクラウド化を検討することにしました」。

ほかの自治体の事例から「安心して導入できる」と実感

▲安全なデータセンターでセキュリティを確保
▲安全なデータセンターでセキュリティを確保

クラウドのメリットは、外部のデータセンターに情報を置くことによって、必要なときに校外からもアクセスができること。「ただ、重要な個人情報を学外に置くと、漏えいしないかという懸念がありました」。

酒井氏はインターネットでクラウドに関する情報を収集。その中で、ある記事に出会いました。「徳島県の東みよし町が、JMCの教育専用クラウドand.T(アンドティ)を導入したという記事です。一読して『これなら安心できる』と実感。先生方にも説明をして、承認していただきました」。

「データを暗号化処理して通信していることや、情報を預けるデータセンターは災害対策も十分なので安心できます。もし、ここまでの対策を独自で行うとしたら、多大な作業とコストがかかります。それほどコストをかけずに安心を得られることが、決め手になりました。また、学校連絡網メールや掲示板など、便利な機能が付いているのも魅力でした」。

導入に手間がかからないことも、クラウドのメリットです。「手間といえば、各学校に依頼して先生方のメールアドレスを決めたり、閲覧権限の範囲を決定したりしたぐらい。機器の設定などはすべてJMCに任せることができ、思っていたより負担を感じませんでした」。

JMCが教育の情報化を専門とする会社であり、担当者が学校業務に精通している点も良かったと言います。「学校の仕事の流れや学校行事に詳しい会社なので、導入スケジュールの調整などいろいろと細やかな配慮をしてもらえました」。

導入と同時にデータ管理のルールも定め、情報漏えいの不安を解消

▲A4一枚のルールと、and.Tの認証に必要な専用USBキーを先生方に配布して本稼働
▲A4一枚のルールと、and.Tの認証に必要な
 専用USBキーを先生方に配布して本稼働

平成26年4月のand.T本稼働に合わせて、酒井氏は情報管理のルールを作成し、先生方に配付しました。「ルールといっても大げさなものでなく、A4一枚に箇条書きにした簡単なものです。ルールでは、重要情報を作成・更新する場合は、必ずand.Tのグループウェア内で行うこと、そのほかのデータは既存のサーバーに置き、写真や動画類は各パソコンのハードディスクに置くこと、そして、データの作成・更新を行う場合、必ずand.Tの『共有キャビネット』を利用することなどを定めました」。

and.Tに必要な専用のUSBキーは、教員数に合わせて導入。各学校ではUSBキーの保管場所を設け、主に教頭先生が管理しています。「USBキーの取り扱いの注意や、個人所有のUSBメモリや携帯用ハードディスクなど記憶装置の使用禁止についても明文化しました」。

導入当初は戸惑う先生方もいたそうですが「and.Tを1回使ってもらえば、すぐに慣れます。何より情報漏えいの不安が解消され、安心しました」。万が一、認証に必要な専用USBキーを紛失しても、and.Tにアクセスするにはパスワードが必要となります。部外者に使われる心配はありません。

スクールバスの遅れや運休の連絡を保護者に一斉送信

▲学校連絡網メールを使って保護者に情報を一斉送信。保護者登録は約半年で完了
▲学校連絡網メールを使って保護者に情報を一斉送信。
  保護者登録は約半年で完了

メールや掲示板などの機能を活用する先生方が少しずつ増えていると酒井氏。「ただ、パソコンやITに強い先生方とそうでない先生方がいらっしゃるので、まだ活用頻度に差があるようです」。

and.Tの使い方でわからないことがあれば、先生方は気軽にJMCのヘルプデスクに電話して聞くことができます。教育委員会内に専任のスタッフを置く必要がなく、トラブル対応やバージョンアップ対応に悩むこともありません。「サーバーやシステムの管理をする必要がなく、保守運用の負担がないのも大きなメリットです。ヘルプデスクには、学校連絡網メールの設定方法や運用の仕方についての問い合わせが多いと聞いています」。

酒井氏は、学校連絡網メールの利便性を実感しています。「スクールバスが雪で遅れたり、故障で運休したりしたとき、保護者へ一斉に連絡できるようになりました。事前に保護者にメールアドレスを登録していただく必要がありますが、QRコードを使えば簡単に登録できます。and.Tを導入して半年ほどで、保護者の登録がほぼ完了しました」。

さらに活用を促進するために研修会を開催

and.Tを導入して、もうすぐ1年が経ちます。「これまで問題なく運用できており、システム体制と情報セキュリティの面では満足しています」と酒井氏。「ただ、先生方がand.Tの機能を100%活用しているとはまだ言えません」。

今後の課題は活用を促進すること。現在は毎年、先生方を集めてJMC社員による研修会を開いています。「研修を
通してクラウドの便利さをもっと実感してもらい、校務に活用する先生方が増えていってほしい」と、酒井氏は期待しています。

只見町教育委員会(福島県南会津郡)について

▲中学校の授業でのICT活用場面

只見町教育委員会では、町内の小学校3校、中学校1校の教育事務も担当。各校では保護者や地域の人々も学校運営に参画しており、うち3校が「コミュニティ・スクール」の指定を受けています。
教育委員会では、地元愛を育む教育にも力を入れ、児童・生徒は、郷土芸能や伝統文化を学び、地元の伝統行事や農園での野菜作り体験などに積極的に参加しています。
「持続可能な開発のための教育(ESD=Education for Sustainable Development)」にも取り組み、平成26年に朝日小学校がユネスコスクールに加盟(福島県内で3校目)。ユネスコエコパークに登録されている只見町の豊かな自然環境を通じて、環境学習を行っています(平成27年にはすべての小・中学校がユネスコスクールに加盟予定)。
また、福島県立只見高等学校に県内外の生徒を受け入れる「極上の自然留学」事業を推進。徹底個別指導とICTを活用した進学対策や安価な寮、イギリス短期留学や企業研修などのキャリア教育、部活動の大会遠征費や只見町ならではの自然体験の費用を、只見町が全面的に支援しています。